印刷には非常に長い歴史があります。印刷技術は、ドイツのグーテンベルグの開発によって一気に開花したと言えますが、しかし印刷に欠かすことができない紙の発明は、かなり昔までさかのぼります。今日の紙に相当するものが登場したのは紀元前2000年以上になります。それはエジプトです。
エジプトでは、水草の茎を用いていて作ったパピルスというものが記録するものとして使用されていました。さらに、6世紀頃にはローマで羊皮紙と呼ばれる羊の皮を用いた記録のためのものが使われていました。しかし、今日において印刷に欠かすことができない紙が開発されたのは中国です。後漢時代に蔡倫という役人が木の皮や麻といった植物繊維を使用して紙を作ったといわれています。
それまで中国では竹簡や木簡が、記録に残すものとして使用されていました。それらと比べるならば書写のための非常に画期的なものであるということが認められ、世間に広く知られるようになりました。こうして考え出された紙を作る技術ですが、その時を契機に世界へと広がってゆくことになりました。日本にも伝えられましたが、それは610年のことです。
これを基にして和紙の開発が行なわれたと言われています。また、ヨーロッパにも伝えられるということになりました。シルクロードを通り徐々に各国へと広まっていき、12世紀にはスペインやフランス、さらに15世紀にはドイツやイギリスまで紙を作る技術が伝わっていきました。